2015年5月22日金曜日

MEAN WOMAN BLUES/ ミーン・ウーマン・ブルース



MEAN WOMAN BLUES/
ミーン・ウーマン・ブルース



<ミーン・ウーマン・ブルース>は『さまよう青春』に使用されたエルヴィスらしさに溢れたミディアム・アップのロックンロール・ナンバー。

エルヴィス・プレスリーは1957年1月に録音。

1958年には、サンレコードの仲間だったジェリー・リー・ルイス、63年には同じくサンレコードの仲間だったロイ・オービソンがカヴァーして大ヒット。

日本では<愛しているって言ったっけ>(打ち明けるのが遅かったかい)とのカップリングでシングルカットされている。

俺の彼女はとっても意地悪
俺の彼女はとっても意地悪
俺に負けず劣らず意地悪な娘

彼女が通りかかっただけで
黒猫さえも震えあがる
俺の彼女はとっても意地悪
俺に負けず劣らず意地悪な娘

激しくキスされ唇にあざ
痛むがハートにジンとくる
俺の彼女はとっても意地悪
俺に負けず劣らず意地悪な娘

すごく変わった娘だぜ
怒ってないと幸せじゃない
俺の彼女はとっても意地悪
俺に負けず劣らず意地悪な娘

笑顔も見せずに愛を交わす彼女
だけどスゴイぜ、俺はメロメロ
俺の彼女はとっても意地悪
俺に負けず劣らず意地悪な娘
俺に負けず劣らず意地悪な娘
俺に負けず劣らず意地悪な娘








l got a woman mean as she can be
l got a woman mean as she can be
Sometimes I think she's almost mean as me

A black cat up got a fright
Cause she crossed his path last night
l got a woman mean as she can be
Sometimes I think she's almost mean as me

Kiss so hard she bruise my lips
Hurts so good my heart just flips
l got a woman mean as she can be
Sometimes I think she's almost mean as me

Strangest gal l've ever had
Never happy unless she's mad
l got a woman mean as she can be
Sometimes I think she's almost mean as me


弱いのも人の魅力。
エルヴィスは壊れ加減に愛情を持って注目し、
かわいいと心こめて歌う。

優しさでロックして愛がロールする。


HARD HEADED WOMAN/ 冷たい女





HARD HEADED WOMAN/ 冷たい女

・年下の子供は年上の子供が見るものなら何でも見る。
・年上の子供は年下の子供が見るものは見ようとしない。
・女の子は男の子の見るものなら何でも見る。
・男の子は女の子の見るものは見ようとしない。
・よって大多数の支持者をつかむには、十九歳の男性に照準を定めるべし。

エルヴィス現象にはこの条件がすべて揃っていた。


サンレコードから、デビュー間もないエルヴィスのライブを聴くと分かりますが、圧倒的にボーイズが支持しているのが分かります。

やがて女性層に変わります。

現代では男性以上に女性のインパクトが強くなったがいまも大きく変わらない。


入隊中にチャートインした<冷たい女>は、ディキシー仕立ての快調なロックナンバー。
エルヴィスのロック・スピリッツが炸裂した曲だ。

よくこれだけ忙しく口が回るなと感心するほど滑らか淀みなく快走する。
ここではキングの風格が充満している。

エルヴィスにとって映画第4作にあたる、パラマウント映画第2作『闇に響く声』の挿入歌。

パラマウント・スタジオ・オーケストラをバックにニューオリンズ・ジャズ・バンドの中にロック爆弾を投げ込んだようなボーイズ好みの仕上がりは、ブライアン・セッツアーの原風景ともいえる。



頑固な女にお人好しの男の組合せは
この世の始めからトラブルの元なのさ

*そうさ、大昔からずっと変わってない
頑固な女は男の苦労の種なのさ

アダムはイヴにこう言った
「りんごの木の回りをうろつくんじゃないぞ」ってね

*2回くりかえし

サムソンはデリラににこう言った

「その汚らしい手でオレの髪に触れるな」ってね

*くりかえし

イスラエルの王様の話を知ってるかい
性悪のイゼベルをめとるまで楽しく暮らしてた

*くりかえし

オレの彼女は石のように頑固
でもいなくなったらオレは一日中粒くだろう

*くりかえし

頑固な女は男の苦労の種なのさ
ア、ハ、ハ



キース・リチャーズ(ローリング・ストーンズ)が語るように、
当時友人との間で交わした「おい、あれ聴いたか」は
エルヴィスが何者だったのかのすべてを表現している。

歌であることをキープしながら、
縦横無尽に自分の声を楽器のように扱い、
身体を動かす。自然な発露と鋭い感性によってのみ可能となる
計算された感情へのアプローチ。

それは”発明”だ。




エルヴィスの音楽は”ボーイズ”を”ロック小僧”にした音楽だった。

没後25年を過て、なお支持される基本はそこにある。

男の子は女の子の見るものは
見ようとしないというわけにはいかないのだ。

「おんな、こどもに分かってたまるか」と
口走りながら、ボーイズは聴き続ける。

Well a hard headed woman. soft hearted man
Been the cause of trouble ever since the world began

Oh yeah, ever since the world began
A hard headed woman been the thorn in the side of man

Adam told Eve "Listen. here to me
Don't you let me catch, you mess:n 'round that apple tree

*Repeat Twice

Samson told Delilah loud and clear

'Keep your cotton-pickin' fingers out of my curly hair"

Re peat

l heard about a king who was doing swell
Till he started playing with that evil Jezebel

Re peat

l got a woman, a head like a rock I
f she ever went away I'd cry around the clock

Repeat


『ワークス・オブ・エルヴィス』には次のように紹介されています。

1957度のパラマウント映画『闇に響く声』はエルヴィス4作目の作品として同年7月2日に公開されかけたが、そのサウンドトラック・アルバムにさきがけて、まずシングルがリリースされた。クロード・デメトリアスの作詞・作曲による軽快なロックン・ロール。ところで「『闇に響く声』は原題でも分かるようにニューオーリンスが舞台になっていて、サウンドトラックもバックにオーケストラ(パラマウント・スタジオ・オーケストラ)を使ってぐっとニューオーリンズ・スタイルのジヤジーな味わいを見せているが、その展開はこのシングル・ナンバーにも取り入れられている。

ちょうどエルヴイス入隊中のヒット・チューンということになり、R&B/カントリー両チャートでもTOPI00、2位までランクアップし、同年11月にはゴールドレコードに輝いている。




2010年6月1日火曜日

トラブル


トラブル/Trouble

 エルヴィス・プレスリー出演映画のかなでも、映画的に一番見応えあるのが『闇に響く声』。エルヴィス映画の最高峰とも言われている。

 リアルタイムで観るにはほど遠く、DVDでしか見たことがない。それでも一番、エルヴィス・プレスリーらしい。入隊を延期しての慌しい撮影。監督は名作『カサブランカ』のマイケル・カーティス。他にも『俺たちは天使じゃない』、『カンサス騎兵隊』、『コマンチェロ』、『ホワイト・クリスマス>』がある。

 共演は、ウオルター・マッソー、ビック・モロー。舞台はニューオーリンズ。ロマンティックには遠くハードな印象が浮かぶ。メインの楽曲も<トラブル>

 ジェリー・リーバー、マイク・ストーラーの黄金コンビの提供による楽曲だ。エルヴィスがジャージーなフル・オーケストラで歌った記念すべき曲。個人的な意見ではあるが、この曲のエルヴィスの声はキャリアの中でも最高レベル。

 とにかくシャウトするエルヴィスの若さがいい。ただ若いだけではなく、哀愁のある声が、ニューオーリンズのジャズバンドをバックにエキサイティングのシャウトするわけだから半端ではない。しかも途中からテンポがアップして、ロックンロールとジャズオーケストラの融合がエルヴィスの声によって成功する。

ロックンロール黎明期、魅力的なロックンローラーが登場したが、エルヴィスが彼等と一線を画していたことが浮き彫りになる作品だ。

 <トラブル>をはじめエルヴィスのすばらしさは変幻自在で、<ア・フール・サッチ・アズ・アイ><恋の大穴>と続いていく時期の傑作のひとつ。大声で叫ぶだけなら誰でも出来る。「シャウトってのはこうするんだぜ!」と、ぐんぐんリスナーをひっぱていく迫力はまさしくザ・キング・オブ・ロックンロールを実証している。

トラブルを探してるなら
ちょうどいいとこに来たぜ
トラブルに巻き込まれたいなら
オレの顔を見てみなよ
生まれた時から歩き、口答えしてた
オヤジは緑色の目をした山賊さ
オレは凶悪、ミドルネームは「災い」
オレは凶悪、だからちょっかい出すんじゃねえ

自分からトラブルを探したことも
トラブルから逃げたこともない
命令なんて受けないぜ
たとえどこの誰からも
オレは肉と血と骨でできてるだけ
でもオレにケンカを売る気なら
一人で売るのはやめときな
オレは凶悪、ミドルネームは「災い」
オレは凶悪、だからちょっかい出すんじゃねえ

オレは凶悪、ものすごく凶悪な男
オレは凶悪、ものすごく凶悪な男
だからやめときな、やめときな
オレにちょっかい出すのはやめときな
オレは凶悪、オレは凶悪だからやめときな
オレにちょっかい出すのはやめときな
オレは凶悪、そうさ、オレは凶悪
だからオレにちょっかい出すのはやめときな
イェー

1968年全米を釘付けにしたTV特別番組『ELVIS:TVスペシャル』のオープニングでも歌っている。


2010年4月16日金曜日

<Don't>ドントまずいぜ



<Don't>ドントまずいぜ

 すでに入隊が決まっていた。
ハリ・B・ウォリスは入隊前最後の作品として映画制作を急いでいた。パラマウント映画『闇に響く声』クランクイン(20日)前夜、1958 年1月18日ヒットチャート初登場、2月連続5週、全米ナンバーワン・ヒットになったのが<Don't>だ。

<Don't>はジェリー・リーバー、マイク・ストーラーのコンビによるR&Bの匂いも強いバラード。B面に両面ヒットとなった軽快なロックンロール・ナンバー<アイ・ベグ・オブ・ユー>(全米ヒットチャート8位)を収録してのリリース。入隊騒動もあって発売前予約でミリオンセラー達成している。

そして<Don't><アイ・ベグ・オブ・ユー>を収録したエルヴィス・プレスリー ゴールデンレコード第2集のエルヴィスはとても幸福そうである。入隊への不安はあったものの、母グラディスも健在、エルヴィス・プレスリー生涯でもっとも幸福な時代のバラードである。

解き放たれた奔放のせいで、奔放に自らを抑圧遊びしている気がしてならない。テクニックで歌う人ではないが、ここではテクニックを遊んでいるように思えてならない。歌こそ唯一真実の言葉が身上のエルヴィスならではの冗談のように思える。

そう考えてしまうのは原題<Don't>を<ドントまずいぜ>とした冗談めいた邦題のせいなのか?イメージが混乱したままに自分の記憶にすり込まれたこの曲とは、しっくり馴染めないままつきあうしかない。それにしてもA game l'm playingのきらめきは、命のしずくのようにリアルで美しい!

Don't, don't, that's what you say
Each time that I hold you this way
When I feel like this
And I want to kiss you baby Don't say don't

Don't, don't leave my embrace
For here in my aTms is your place
When the night grows cold
And I want to hold you baby Don't say don't

If you think that this is just
A game l'm playing
If you think that I don't mean
Every word I'm saying
Don't, don't don't feel that way

l'm your love and yours I will stay
This you can believe I will never leave you
Heaven knows I won't
Baby don't say don't, please don't

70年代後半になって、エルヴィス・プレスリーが壊れていったのは、不良品だからではない。生来の優しさと強い期待への責任感、高い目標に何の支えもなしに応えようとした真面目のために破滅したのだ。

こんな話は巷に溢れている。そして悲しいことに日に日に増えるばかりだ。心優しい者が生きにくい、暮らしにくい場は好ましい人間の集まりの場でない。

うれしい時も
悲しい時も
いつもエルヴィスがいる。

このメッセージは最初に”エルヴィス映画”のパンフレットからもらったのだ。

うれしい時も
悲しい時も
いつも私がいる。

あなたがいて、わたしがいることの重要。

人間には支えが必要なのだ。そして誰でも誰かの支えになれる。
あなたがいて、わたしがいる。というメッセージを確かに相手に届けることだ。

もし、エルヴィスを愛するならば----
妊婦さんや老人が立っていたら、席を譲ってあげることだ。席を譲ってもらえた人は自分はひとりではないのだと強くなれる。金のかからないセフティネットがない社会に投資してどんなセフテイネットができるのだろうか?

エルヴィス・プレスリーにしても、マリリン・モンローにしても、特徴が際立っていてしかも多い。その記号を真似て茶化す傾向がこの国には特に多い。違うことを尊ぶ文化を持たないからだ。そのためにエルヴィスをおもしろおかしく伝える傾向はあるが、そんなものは黒く塗りつぶせ。

エルヴィスが残したもっとも重要な記号は、心優しい者が壊れるしかないような社会は悲惨だということではないか。そしてもうひとつは支えがなくても、ほとんど自分ひとりの力でここまで到達した成功の可能性の示唆。

それを------
エルヴィス・プレスリーはテクニックでなく、自分の身体と精神と命で歌った。
おちゃめすぎて、いじらしいほど愛すべきロッケン屋バカ一代、自分仕掛けの時限爆弾、まるごと爆発の42年は<Don't>だったのに。エルヴィス・プレスリーのレコードを置いて、町に出よう。疲れたら帰ってきて、またエルヴィスを聴けばいい。

"ダメよ"と君は言う
僕が抱きしめるたびに
僕がこんな気持ちで
君にキスしたいときは
"いや"と言わないで

僕の抱擁から逃げないで
君の居場所はこの腕の中なのだから
夜更けに寒さが増し
君を抱いてあげたいとき
"いや"と言わないで

もしもこれがただの
ゲームだと思うなら
もしも僕の言うことが
全て嘘だと思うなら
そんなふうに考えないでおくれ

僕は永遠に君のもの
信じて、決して君を放さない
これが嘘じゃないと神様は知っている
だからベイビーお願いだ、"いや"と言わないで